鉋(かんな)使い方|鉋のかけ方|鉋 削り方
カンナがけの基本は平カンナです。出番が多く調節箇所も多いのが、このカンナです。使いこなせば、ほかにも応用が利きます。
鉋の刃を調節する
刃を出す
削り深さを設定するのが刃出し調節です。これによって、同時に引きの重さや面の仕上げ度合いも決まります。まず刃を出すには、カナヅチでカンナ身の頭をたたきます。
カンナ身を叩いて、刃先の突き出しを調整する。カンナ台の下面からごくわずかに刃先が出ている状態にする。
刃の出代を確認
刃が下端から0.2ミリ出るくらいが標準です。刃の出具合を見ながらたたくには、図1のような持ち方になります。荒材を削るには0.4ミリ、仕上げは0.1ミリくらい。 0.1ミリの違いでも削り具合が変わります。これは刃を見ただけでははっきりしません。材料を削って試しながら調節するのが確実です。
カンナくずが出る刃口の手前に、刃がわずかに出るように調整する。
カンナ台の最上部(台頭)を軽く叩いて、刃先を引つ込める。
刃を引っ込める時は台頭(だいがしら)の両端を交互にたたきます。中央をたたくと台が割れやすいので避けましょう。
また刃の傾きを直す時に、カンナ身の「こば」をたたくのも台割れのもと。代わりに、出過ぎた側の台頭をたたきます。カンナ身の刃出しが決まったら、裏金の刃先を0.3ミリまで近づけます,行き過ぎたら台頭をたたいてカンナ身ごと引っ込めます。
図1 カンナ 刃だし 調整
替刃式カンナの場合、木製台タイプなら同じ要領で調節できます。一部の製品では、裏金がカンナ身にかみ合って連動するため、裏金の調整は不要です。金属台のタイプはネジ式なので、勝手が違います。替刃交換も含めて、刃出し調節の方法を図に示しました。これも、基本的には刃を出す方向で調節します。
動画 カンナの刃の調節の仕方
平面を削る|鉋の使い方 ポイント
カンナが安定する持ち方を工夫しましょう。まず左手の2本指でカンナ身をつまみ、残りの指を台頭にかぷせます。右手は甲穴のすぐ後ろをつかんで下に押し付け、下端を材料に密着させて引きます。左手は左右のブレを押さえながら、補助的に引きます。下へは押しません。台は進行方向に真っすぐ向けましょう。台を斜めにして引くと軽く切れるのですが、続けていると材料も台も狂います。
常にひと息で削るのが基本です。長い材料であっても途中で刃を離さず、食いついた状態で体を移勣させてから、続きを削ります。広幅の板では、削り幅の端をやや重ねて隣へ移ります。最後は少ない刃出しで仕上げます。平而の確認は手触りでも大まかにわかりますが、これは局部的な凹凸の判定。全体のタワミはスチール尺を板の対角線に当てて、間から透かして見れば確実です。
端面を削る|鉋の使い方 ポイント
板の木端はカンナが不安定で削りにくいものです。この場合、まず木工用万力などで材料をタテに固定しましょう。そしてカンナを密着させ、両rで水平の感覚をつかみます。次に手首を固めてひじで引きます。さらに木端の直角精度を出すには「木端立て削り」が有効です。
あらかじめ材料の下に平らな板を敷き、材料をはみ出させてクランプ止めにします。そしてカンナの木端を作業台にすり付けて引きます。この時、カンナを持つ手が刃に近づくので要注意。親指は台の木端に当てて、他の指は甲穴に置きます。なお、留め板が付いた「すり台」を作って用意すれば作業は効率的です。
さらに削りにくいのが木口。刃は板の繊維に引っかかり、端が欠けることもあります。これを削るには、カンナを木口に平行に当て、斜めに引きます。手前のカドが欠けないように、そこだけは逆方向に削って仕上げます。
順目、逆目|鉋の使い方 ポイント

最適カンナの使い方
台は金属製なのでそったりする心配がなく、磨き上げられているので材料の上でもスムーズ。刃の交換も簡単に行うことができる
材料固定
カンナを手前に引くために材料を固定する。
鉋をひく
カンナを材料に軽く押しつけるようにしながら、真つ直ぐカンナを手前に引く。
鉋屑 清掃
カンナ屑をこまめに取り出してスムーズにカンナが削れる状態にする。
鉋 使い方 コツ
鉋 コツ1
小物の表面をカンナがけする時は、カンナを動かすのではなく、片手でカンナを支えて、材料を台に当てながら動かす。
鉋 コツ2
台にV字形の溝が刻まれている最適カンナなら、面取りも行える。材料の角にV字形の溝
を合わせてカンナがけを行なう。
カンナ屑でチェック
カンナがけは木目に沿つてかける(準目)のが肝要で、木目に逆つてかける(逆目)と表面が荒れたザラザラな状態に削れてしまう。カンナ身が適性に調整され、カンナ台にも狂いがなく、そして正しい方向にカンナがけすれば、カンナくずはささくれがなく、きれいにつながった状態で排出される。

カンナ屑でチェック
鉋(かんな)の手入れ、メンテナンス
鉋(かんな) 下端の調整
カンナを使い慣れた人の話によく出てくるのが、荒・中・上仕工(しこ)といった、下端の調整方法です。図は、中仕エカンナの仕立て。確かにこのように段状に削り取ったカンナは、刃が材料をよくとらえて切れ味が優れます。ただ、これは長尺材料や、長時間の作業に備えた工夫です。カンナ台よりも短い材料にはガイド面が足りません。さらに1台で荒削りも仕上げ、硬材も軟材もこなすには、単純な平面のほうが適します。
鉋(かんな)台直し方法
そして台が乾燥して歪んだり、すり減った時は台直しカンナで修正です。簡単な方法としては、図のようなサンディング定盤で下端を研ぎます。これなら確実な平面が得られます。その際、カンナ身を抜いて作業すると台が変形する(変形が戻る)ので、やや刃を引っ込める程度にします。
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鉋の仕込み
買ったばかりの鉋は、刃がでなく、切れません、鉋の台を作る人と、刃を作る人が違うので仕込みが必要です。
仕込みは、刃の裏に墨を塗り、あたったところを少しづつ削っていく、鉋は硬木が多いので、ノミを切れるようにしておく。
カンナ身がきつくはまって、なかなか刃が出ない場合があります。この状況では、カンナ身の幅が左右に当たるのか、厚さが押さえ溝の幅につっかえているのかを充分見極めます。
前者の対策としては、押さえ溝を深くして0.3ミリほどの余地を作れば直ります。鉛筆で正確に墨付けし、細身のノミで溝の底をさらいます。溝幅には触りません。削り量が少ないので、溝の手前から突いていくと底が歪みます。底にノミの裏を当ててガイドにし、奥側を削れば確実です。まめにスチール尺を当てて平面を確認し、カンナ身の収まりがよいところで完了です。
これでもきつい場合は、押さえ溝の幅をわずかに広げます。しかし、溝を台尻側に削り広げるのは、かなり微妙な作業です。むしろ背中なじみの平面をヤスリがけしたほうが安全です。カンナ身に鉛筆を塗って当たりを確かめ、きつい場所を削りましょう。時どきカンナ身をはめて具合を確かめます。もし、カンナ身が緩んでしまったら、背中なじみに薄紙をはさんで、適度な固さにします。
動画 鉋の下端削り 下端調整
鉋 研ぎ方
砥石を用意する
砥石は3種類用意します、荒目砥石・中砥石・仕上砥石です。
荒目#400-800、中砥石#1000-1500、仕上砥石#3000~
購入時のポイントは裏表で2種類使える砥石は砥石の平面を出すために、砥石同士を擦り合わので裏表で荒と中がくっついていては、擦り合わせられません、よって平面出し用の修正砥石が別に必要になるのでムダになります。

砥石 種類
おすすめはシャンプトンの#1000(オレンジ)、#1500(ブルー)、仕上げ用に#5000(紫)です。
シャプトン 刃の黒幕 オレンジ 中砥 #1000
特徴:中砥だが荒砥がいらないといわれるほど良く刃が付き、荒・中兼用の砥石として便利な、#1000の中砥石です。
本体寸法:210×70×15mm
商品番号:K0702
粒度:#1000
中砥石で鉋を研ぐ~鉋の切れ味を戻す
刃こぼれしていなければ中砥石から研ぎ始めます、刃がガタつかないように若干斜めにあててスライドさせます。面いっぱいを使用して砥石が片減りしないように注意します。
水気がなくなってきたら、砥石からでたとぎ汁が流れない様に水を手にとって砥石に数滴たらします。返りを確認して、若干光沢がでてきたら仕上げに移ります。

砥石による鉋刃の研ぎ方
仕上げ砥石で研ぐ~鉋刃を鏡面に仕上げる
仕上砥石で研いで徐々に刃面を反射にします、研ぐポイントは刃先のほうに力が入るようにします、そうしないと、手前ばかりが研げてしまいます。

砥石による鉋刃の研ぎ方
鉋刃 返し取り
最後は刃裏の先(鏡面になっている部分)を砥石に押し当てて前後に擦って、返しをとります。

砥石による鉋刃の研ぎ方

砥石による鉋刃の研ぎ方
動画 鉋 研ぎ方
カンナの「刃の研ぎ方」についての動画です。
鉋(かんな)刃の角度
メンテナンスのなかでも、頻繁に行う必要があるのは刃研ぎでしょう。替刃式は別として、新品のカンナでも研いでから使ったほうがよく切れます。ここでは刃の角度を調べてみましょう。一般的な2枚カンナについて、刃の角度を図に示します。
カンナ身の角度は、「仕込み勾配」で表します。図にある40°は代表的な数値です。削る材料の硬さごとに適した角度がありますが、汎用性の面ではこのくらいに落ち着きます。この時の刃角は29゜です。
製品によっては、仕込み勾配39°と刃角28゜の組み合わせも実際にあります。これが刃角28゜未満になると、やや刃こぼれしやすくなります。その点、裏金は切るための刃ではなく、角度もシビアではありません。2段研ぎの先の刃角は70°くらいです。めったに摩耗はしませんが、サビたら研いで滑らかにします。カンナクズの折り返し具合は、研ぎよりも裏金の位置で決まります。
鉋台直し 油台
油台のメリットは下記のとうり
・切削抵抗を少なくする
・鉋台の反りなどの歪みを減らす
油を染みこませる方法は、カンナの刃を抜き、刃口をテープなどでふさぎ、鉋のV形に彫り込まれた部分に油をためます。しばらくおくと油が減りますから、つぎ足します。やがて木口から油がにじんできます。そうなれば完了です。約4~5日かかります、油は椿油が一番、適しています。
まとめ
初心者向けに鉋の仕組みから鉋の種類、鉋の選び方や使い方を記載しました。
購入時には自分の必要とする鉋の目的を良く、吟味して現在、必要とするモノを選択してください。購入の際には価格の安い、激安商品が通販等で販売されていますが品質、信頼性は不明です、あとで安物買いの銭失いにならないように日本製メーカーをおすすめします。
最期に切削系電動工具の共通な内容は下記の記事に詳細に記載しています。
大工道具 鉋(かんな) フリーイラスト
大工道具の鉋(かんな)のイラストを下記のページに掲載しています。
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関連記事: 鉋(かんな)フリーイラスト
*鉋の選び方、使い方、メンテナンスについては下記の文献に更に詳細な内容が記載されています。
参考文献:
1.DIY工具選びと使い方 著者:青山元男 ナツメ社
2.DIY 道具の便利手帳 監修:西沢正和 大泉書店
3.電子工作工具活用ガイド 著者:加藤芳夫 電波新聞
4. 道具の徹底使用術 著者:荒井章 山海堂