ディスクグラインダーの使い方
ディスクグラインダー 基本操作
基本は研削砥石での研削です。研削作業は研磨と違って形を作る作業になります。材料に押し付けるのではなく、削る量を見込んで工具の位置を保持することが大切です。
また研削砥石の外周を当て、平面部は触れないようにします。研削砥石は材料との間を約15°~30°の角度に保ちましょう。
体重はかけず、研削量によってはむしろサンダーの重さを支えるくらいの軽さで当てます。それでもこのままでは円弧状に材料を掘ってしまうので、均一な速さで移動させて研削します。
金属の研削では、周りにすり減った砥粒が飛びます。研削砥石の回転面内には顔を出してはなりません。さらに材料に当たった箇所から、接線方向に火花が出ます。砥石は右回りなので、右側は危険です。体の外側か下側に出るように、サンダーの向きを設定しましょう。もちろんメガネを装着してください。
次は持ち方です。補助ハンドルが付いた機種では、本体をつかんでから、もう片方の手は補助ハンドルを握って体の姿勢を決めます。このタイプは材料に当てる角度がわかりやすいのでお勧めです。
補助ハンドルがない機種は、フラつかないように本体を両手でつかみます。切断などでタテに構える時は、回転面に顔が入ってしまいます。サンダーをわきにズラし、横から墨線を覗く姿勢をとりましょう。どの場合も、手で移動するのではなく、同じ姿勢を保って腰ごと移動します。
スイッチを入れる時は、両手を本体から離さず、指先でさぐるようにして操作します。
ディスクグラインダー 研削砥石 バリ取り
鋼板を切ったカドにできる、とがったバリは研削砥石で簡単に取れます。カドに45°の角度で砥石の外周を当て、稜線沿いに進めます。細い面が均一な幅に続くように、一定の速さで進めましょう。そして大きく面取りしたい時は強めに当ててゆっくり進みます。強めといっても、火花がいちばん多く出る状態が目安です。
それ以上に強くしても効果はありません。面取り部分をより一層丸める場合は、細い面をさらに細分するようにしてくり返します。
途中で、砥石の縁が薄くとがってきたら、欠ける前兆です。大きな粒が飛ぶ前に、砥石を端材のカドに垂直に当てて、先を落しておけば安心です。
ディスクグラインダー 研削砥石による切断
ドラム缶を半分に切つて、バーベキュー用の釜を作る場合。早いのは溶接機で溶断ですが、研削砥石でも切れます。この場合、引火性・揮発性の液が入っていた缶は使えません。中身が安全とわかっても、念のために内容物を洗剤で洗い流し、さらに洗剤を入れて、わずかに残る揮発分や油分も乳液状にしておきます。
切断作業では、ディスクグラインダーの「キックバック」に気を付けましょう。
これは切り口が狭い時や、砥石外周の前後2箇所が当たった場合に起きます。丸ノコのキックバックに似ていますが、この場合は手前だけでなく、前方にも持つて行かれます。砥石の先が材料に深さ10mm以上入つたら、そろそろ要注意です。
この現象を防ぐ用具として「ガイドベース」があるので、取り付けましょう。
ドラム缶の垂直面を切る場合は、図のように構えます。顔は回転面の外、火花の方向は下です。スイッチを入れて、回転が安定したらガイドベースを缶の表面に当て、ゆっくり刃を近づけます。刃は5mmだけ入れて切り進むのが基本です。
そのため、最初の刻みは、刃が入る大きさよりもやや大きい穴にてキックバックを防ぎます。刃を前後左右に振る要領です。これをせずに、砥石を一箇所に当てて突っ切ると、あいた穴に砥石がはまり、キックバックが起きます。
あとは、この穴から切り広げて進みます。火花の量は切りクズの量です。火花が多く出るように、押す力や角度、速さを加減して進めば効率的です。
ついでに、もうひとつの切断作業を見てみましょう。図は鉄の手摺りや柱に溶接された鉄棒を取り外すところです。この場合は、すき間に砥石を差し込んでの切断になります。ガイドベースは、じゃまになって使えません。こんな時でも突っ切りをせずに、切り口を広げて切り進めばキックバックは防げます。鉄棒が取れたら、あとは使い方①の要領で、バリ取りと平面研削をして仕上げます。
ここで見て来た切断の作業はブロック、コンクリート、タイルの切断にも応用できます。その際もマスクをして作業してください。
ディスクグラインダー サビ取り作業
鉄板の深くまで達したサビは、ワイヤブラシディスクよりも「サンディングディスク」のほうがよく取れます。研磨作業としても一般的なディスクです。
荒研ぎなので番手は60番くらい。ゴムパッドとの組み合わせが、材料表面によくなじみます。約15°の角度で当て、弾力を生かしてディスクの広い範囲を当てます。ホイールカバーの‘向きは調節しますが、取り外すのは危険です。
ディスクの先を当てた場合、進む方向は後または前方向です。左半面を当てる時は、右へ進みます。ちなみに右半面を当てると、体にホコリを浴びてしまいます。研ぎ跡を半分重ねるようにくり返していけば、研ぎキズも少なく、均一な表面が得られます。押し付ける力はサンダーの重さに、腕の重さを載せる程度です。
なお、木材の荒研ぎでは100番程度。ワイヤブラシや多羽根ディスクを使う場合もサンディングディスクと同じ要領でできます。
ディスクグラインダー 車塗装 バフ掛け作業
ディスクグラインダーはポリッシャーと違い高速なので車塗装のバフ掛けには不向きです。
塗装がはがれて下地が見えてします恐れがあります。
低速切り替えがついているディスクグラインダー の場合、先端をポリッシュ用に付け替えて使用できるとのネットでの情報がありますがカーポリッシング(車磨き)用のポリッシャーを購入して使用する事をおすすめします。
ポリッシャーは、毎分2,000~3,000回転程度と低速なため、サンダーのような強い研磨力はありませんが、素材を傷つけない繊細さが特長で、塗装面の仕上げや艶出し、床やタイルの清掃に向いています。
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ディスクグラインダー ディスクとホイールカバー交換
ディスクグラインダーは作業内容に応じてディスクなどを交換することになる。また、ディスクヘの接触や研削クズなどの飛散を防止するためにディスクの周囲にはホイールカバーが装着されるが、作業内容によってホイールカバーの方向をかえたり、ディスクに応じたホイールカバーに交換する。
ディスクの交換
オフセット切削砥石、切断砥石、マルチディスクなど一般的なディスクは、回転軸にインナーフランジ、ディスク、ロックナットの順に装着され、ロックナットを専用のロックナットレンチ締め込むことで固定されている。
シャフトロックを押しながら付属のロックナットレンチでロックナットをゆるめる
ある程度までゆるんだら後は指先で回してロックナットを取り外してしまう
回転軸にあるインナーフランジはそのままにし、研削ディスクを回転軸にはめる
ロックナットを締める。ロックナットの突起部がディスクの内径をとらえるようにする
シャフトロックを押しながらロックナットレンチでロックナットを確実に締め込む
ホイールカバーの調整
作業内容に応じて火花や切削クズが飛ぶ方向は異なるため、作業者側に飛ばないように位置をかえる必要がある。
ホイールカバーは回転軸の根元の円筒部分を締めつけるように固定されているので、ゆるめれば位置をかえられる。
ホイールカバーの根元にある締めつけネジをゆるめる。ネジの頭を傷めないよう注意
ホイールカバーを回転させて作業内容に合った位置にかえ、締めつけネジを締め込む
ホイールカバーの交換
カップ型のワイヤーブラシは全方向に研磨クズが飛びやすいので、全周をおおうホイールカバーが必要になる。切断砥石やダイヤモンドホイールの場合はディスクの両面をおおうカバーを使う必要がある。こうした場合はホイールカバーを取り外して交換する。
締めつけネジをさらにゆるめればホイールカバーを取り外せる。ネジを外す必要はない
装着するディスクに合つたホイールカバーをはめる。水平になるように注意する
交換したホイールカバーの締めつけネジをドライバーでしっかり締め込めばOK
ダイヤモンドホイールへの交換
ダイヤモンドホイールも装着方法は他のディスクと同じだが、ディスクの内径が異なっている為、インナーフレンジを適合させる必要がある、裏面で対応できる製品が大半です。
インナーフレンジを一旦、取り出し逆方向にして取り付ける。
ダイヤモンドホイールをセットしたらロックナットをディスクの場合とは逆向きに装着
シャフトロックを押しながらロックナットレンチでロックナットを確実に締めこむ。
ワイヤーブラシヘの交換
ワイヤーブラシは回転軸を直接ねじ込んで固定する。ブラシのナット部をスパナで回し
て締め込めばいい。この際、使用しないインナーフランジを紛失しないように注意。
ワイヤーブラシの場合はインナーフランジは不要なので取り外してしまう
ワイヤーブラシ頭部のナットをディスクグラインダーの回転軸にねじ込んでいく
指先で締め込めなくなったらワイヤーブラシ頭部のナットにスパナをかけて締め込む
少しでも安全な金属加工を行うためにはディスクグラインダースタンドがおすすめです、これなら高い安全性と精度の高い金属切断作業を両立することが可能です。
このスタンドはグラインダーをセットすることにより、簡易的な小型の卓上型高速切断機として使うことができます。
グラインダースタンドはバイスで固定し、ハンドルを下げるだけで切断できるので、頻繁に切断作業を行う方にはお勧めです。
取り付け可能なグラインダーのサイズはスタンドにより違いますので事前に確認してください。
K11 ディスクグラインダースタンド 動画
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お手持ちのディスクグラインダーを取付けて簡易切断機早変わりします。
スタンドに取り付け、安定した切断作業を安全に出来ます。
連続した切断作業に最適です。
ディスクグラインダー 安全対策
ディスクグラインダーは重大な怪我、障害が発生する電動工具なので、事故防止の為に必ず、安全保護具の着用をしてください。
金属を相手に、パワフルなディスクグラインダーを使うという場面なので、保護具も図のような重装備になります。「防じんメガネ」は飛んでくる砥粒や切りクズから目を守るため。側面も保護できるので完璧です。これは確実に装着してください。
「耳栓」は騒音から耳を守ります、スポンジ状で耳穴に密着するタイプがよいでしょう。研削の時の高音だけをカットし、話し声は聞こえます。
そして「革軍手」。これは、綿軍手をしたいような時に使います。とがった材料を使う時など、やむをえない場合でも綿軍手より安全です。作業用の、手首が広く開いたものを選んでください。ほかに、ブロックやコンクリートの切断をする時は「防じんマスク」が必要です。これらは必要に応じてではなく、本体を購入する時に一緒に揃えましょう。
関連記事:安全衛生保護具の正しい選び方、使い方
*特に注意が必要なディスクグラインダー安全管理上のポイントを次に挙げてみます。
安全衛生特別教育の受講
労働安全衛生法により「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」が、危険又は有害な業務とされております。従って、ディスクグラインダを使う作業の従事者は、安全衛生特別教育を受ける義務があります。
メーカーや各教育機関の「自由研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育」を必ず受講させてください。
作業前に試運転確認
ディスクグラインダーを使い始める時はいきなり作業に入らず、使用前にディスクに割れがないか、砥石が歪んでいないか確認してください。
少し空転させて異音がないか、正常に回転しているかもチェツクポイントです。
砥石交換・・・3分間以上
作業開始・・・1分間以上の試運転確認が必要です。
可燃性物質には注意
ディスクグラインダーは高速回転で加工するため、大量に火花が出ます(特に荒削りする時)。可燃性物質がないか周りを十分に注意して作業してください。
砥石安全カバーは取り外し厳禁
切断用砥石を使ってコンクリートやレンガを深く切り込みたい場合など、砥石安全カバーに当たって思い通りに切断できない時があります。そんな時にこの砥石安全カバーを外して作業する人がいますが、この行為は非常に危険です。深く切り込むほどディスクは割れやすくなり、割れたときにディスクの破片が飛び散って大けがをしたという事故が後を絶ちません。砥石安全カバーは絶対に外さないようにしましょう。

保護カバーの取り外し厳禁を明示したシールを貼付することにより、安易な取り外しを防止する。
グラインダーの安全カバーには、研削砥石用安全カバーと切断砥石用カバーの2種類があります。
切断砥石用カバーは標準付属されていない場合がありますが、切断砥石を使用する場合は、別販売品の切断砥石用安全カバーを装着してください。
切断砥石用安全カバーは、研削砥石用安全カバーと違い、移動フランジ側(外側)も半分ガードされているので、切削屑(火花)が身体に向かって来なり、また、砥石が破損したときに怪我をする可能性が低くなります。
おすすめ 切断砥石用安全カバー
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ディスクグラインダー 作業時の注意
作業時の注意点として、加工面との設置角度なども注意してください。
角度が小さいとあまり、削られない為に、角度を大きくすると反発量が増えてディスクグラインダーが保持できず、飛んでします場合があります。
急な角度、変更は厳禁です、砥石の角度は15°~30°以内にしてください。
また、切削中に砥石を材料に押し付ける力は、グラインダーの自重だけで充分なので、無理に押し付けないでください、無理に押えつけると砥石の消耗も早くなり、反発力が大きくなるのでコントロールしにくくなり、危ないです。
最期に作業終了時は砥石の回転が完全に止まってから、ディスクグラインダーに触れて下さい、作業台などに置いてください。少しでも回転力が残っているとグラインダーが暴れて跳ねて砥石に接触・巻き込み等の事故に発生する恐れがあります。
グラインダーはDIYや日曜大工で使われたりもする機械ですが、取り扱いを間違えると大怪我をします、また業務で使用するためには、特別教育を受講し、そして使用する前には、点検と試運転が安全事故防止のためには必須です。
ディスクグラインダー 事故事例 動画
ディスクグラインダーを使用した事故事例 動画です。
安全を優先に作業っしてください。
ディスクグラインダー メンテナンス
ディスクグラインダー自体はかなり丈夫です。ディスク交換の際に、歯ブラシなどでカバーの内側やスピンドル付近を掃除しておく程度で充分です。掃除をしているとネジの緩みに気が付くので、むしろこれが主眼になります。
使うディスクの種類が多い方は、付け替え部品も多くなります。本体といっしよに箱にまとめておけば、紛失を防げます。また欠けた砥石は危険ですが、こうすればバラバラに持ち歩いて、砥石を落すこともなくなります。
動画 ディスクグラインダーをメンテナンスする
ディスクグラインダーアクセサリー
アマゾンのディスクグラインダーアクセサリーの売れ筋を知りたい方は下の画像をクリックしてください。
ディスクグラインダー 故障修理、分解事例
ディスクグラインダーの故障の原因は落下、衝撃による電気系SWの変形、機械系ギヤのズレがあります、又、異常使用、経年変化によるモーター焼き付け、内部のゴミ侵入により異常音発生等があります。

ディスクグラインダー 分解図
ディスクグラインダー モーター焼き付け 故障修理1
異常使用および経年変化により発生します、原因はモーターのエナメル線がところどころ炭化したり、剥がれたりして隣同士のエナメル線が導通し、コイル巻き数が減ってしまい、発生する磁力が減り、回転力がなくなり、また電流が流れやすくなるため、カーボンの火が大きくなりパワーが落ちたり、動かなくなります。
この場合、対策はモーター交換しかありません。
ディスクグラインダー カーボンブラシ摩耗 故障修理2
ディスクグラインダーが火花が発生し、突然、動かなくなった原因のほとんどはカーボンブラシの摩耗です。
又、カーボンブラシ交換時に入れ方ミスにより電流が流れない場合がありますので挿入時、変形しないように注意して交換を行ってください。
ディスクグラインダー ベアリング摩耗 故障修理
ディスクグラインダーから振動や熱が出るならベアリング摩耗している可能性が高いです。
ベアリング交換用工具が必要ですがベアリング部品があれば簡単に修理が可能です。
その際はグリス塗布を忘れなく、交換を行ってください。
まとめ
DIYで良く使用するディスクグラインダーについてご紹介しました。
グラインダーは種類が豊富にあり、最初はどれを選べばよいか悩むことと思いますが、回転速度が自由に変えられる無段変速型をおすすめ。
最期に研磨研削系電動工具の共通事項については下記を参照してください。
関連記事:研磨研削系電動工具の選び方、使い方、手入れ【図解】
参考文献:
*ディスクグラインダー 工具の選び方、使い方、手入れについては下記の文献に更に詳細な内容が記載されています。
1.DIY工具選びと使い方 著者:青山元男 ナツメ社
2.DIY 道具の便利手帳 監修:西沢正和 大泉書店
3.電動工具 徹底利用術 著者:荒井 章
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