電気カンナの使い方
電気カンナ 基本操作
いちばん大切なのは、必ず両手で持つことです。片手でハンドルを握り、もう片手は必ず「切削深さ調節ノブ」を持ちます。
削り始めは、フロントベースだけを板に押し付けて密着させます。スイッチを入れて回転が安定したら、ゆっくり前に進みます。停滞することなく一定の速度で進みましょう。板の端が本体の真ん中を過ぎたら、押し付ける重心を後ろ、つまりハンドルに移します。
削り終わりは、リヤベースを密着させてそのまま水平に通過させます。このように、前荷重で削り始めて後ろ荷重で終わるのが基本です。
とくに削り始めに本体を安定させないと、板がえぐれやすいので注意する必要があります。
後ろ荷重になっている時でも、ノブを持った手は離さないでください。手が遊ぶと、片手で板を支えたくなったりします。手が刃に近づいて、大ケガにもなりかねません。スイッチを切って台に置くまでは、両手で持っていましょう。
ブレーキが付いた機種はまだ少ないようです。回転が止まらないうちに作業台に置くと、台や刃が傷みます。かと言って、横倒しに置くのは最も危険です。枕木になる端材を用意して、フロントベースを載せます。
電気カンナ刃の出シロ調整
削り量は「切削深さ調節ノブ」を回して、0~1mmの範囲で設定します。板の表面が粗い時は、0.5mmの荒削りから始めます。表面の汚れをむき取る程度なら0.2mmからです。次から順に浅く設定し直し、最後は0.1mmで仕上げます。
削り減らしの場合は、深さ1mmでガンガン削り落します。そして最後の1mmの中で調節しながら、仕上げ削りの0.1mmに収束させていきます。
刃は回転して当たっているため、深く削った時や、送りが速い時には波状の削り跡(リップルマーク)ができますこれを平滑にするのが仕上げの工程です。
仕上げは0.1mmの深さで、ゆっくり一定の速度で進みます。目安としては、1mの長さを5秒で通過するくらいです。
電気カンナ 荒材加工
カンナ仕上げされている「加工材」に対して、製材されたままのザラザラで安価な板が「荒材」です。電気カンナで、この材料をきれいに仕上げましょう。
まず最初に、逆目にならぬように注意して削る方向を決めます。木端(こば)を見て、木目が斜めに上がっていく向きが順目です。そして削り台を用意します。
作業台に留め板を打ち付けるのも確実な方法です。また長い材料には、大工さんが使う「ウマ」を作っても便利です。斜面を下って削るのは手カンナと同じですが、電気カンナは押す操作なので下り方向に体を向けます。
留め板に材料を当てて削ります。板の幅が広い時は、端から順に刃幅を重ねて削ります。本体をよく安定させるため、刃幅が広く載るように割り付けましょう。
深さ0.5mmで削り始め、次に0.2mm。きれいな材が現れたら、深さ0.1mmで仕上げます。長い材料であっても、端から端までゆっくり一定の速さを保って進みます。
電気カンナを腕だけで扱っていると、途中で継ぎ足すような動きになりがちです。
継ぎ足した箇所は段差になってしまいます。この場合、腕は板に押し付けることだけに使い、その姿勢を守って腰ごと移動するのがコツです。
削り上げた側は、寸法取りの基準面になります。必要な板厚は、ケビキで木端に引きます。この線を守って裏側を削れば、均一な厚さの板になります。
次は木端を削ります。板は図のように固定します。板が倒れないように、そして刃が直角に当たるように工夫します。図の中では、板をH型に組む方法がいちばん正確で安定します。なお、板を手で支えながら削るのは非常に危険です。
電気カンナ 平行ガイドを使用
切削幅(刃幅)より広い材料に電気カンナを使うと、作業した列の間に段差ができやすい。
切削幅の大きな電気カンナもあるが、幅が広くなるほど重くなり、扱いにくくなるし価格も高い。ひんぱんに大きな材料のカンナがけを行わないのなら、列にわけて作業する方法をマスターしたほうがいいだろう。
段差を防ぐためには、切削深さを小さくして、回数を増やして作業していくことだ。また、次の列を作業する時は、先に切削した部分にわずかに刃がはみ出すようにする。材料の幅が広いと真つ直ぐに電気カンナを動かすのが難しくなるので、平行ガイドを使おう。
平行ガイドはオプションのことが多いが、さほど高価なものではない。材料の側面に当て
ながら移動すれば真つ直ぐに作業できる。
なお、裏技といえるものだが、いったんカンナ刃を取り外し、刃の両端の角の部分を砥石でけずり落としておくと、列と列の間に線状の跡が残りにくくなる。
平行ガイドを材料の側面に密着させて電気カンナを移動させる。一列目が終わった時点では切削した厚さだけ段差がある
すでに切削した部分もにわずかにかかるようにして次の切削を行う。同じような押しつけ力で作業すれば段差はなくなる
電気カンナ 反り 修正
反つて曲がった板でも、大きく曲がった部分を捨てて、短い材料にすれば狂いは減ります。そのうえで、この反りを削り取つてみましょう。
木端に、欲しい板厚分の直線を引いてみれば削る量がわかります。しかし大きくネジレた板はどうにもなりません。少々なら、板を平らな台に置いて、ガタがなくなるまで接触部分を削ります。そして同様に線を引きます。これで準備ができました。
凸面の側から始めます。最初に、いちばん高くふくらんだところを削つて、部分的な平面を作ります。板の途中から刃を当てるので、刃が引つかからずに空回りします。それでも押し付けて進み、くり返すうちに削れてきます。切削深さは0.2mmくらいで、切れ具合によって調節します。平面の回りにできる境目は、地図の等高線と同じです。この線が木端の墨線に一致するまで平面を広げます。
次は凹面です。出っぱっているのは四隅。そこに電気カンナを押し付けて進んでは、力を緩めて離します。平面が板の真ん中までつながったら、木端の墨線を見ながら不足を削り足します。削りしろに余裕がある場合は、板の真ん中から放射状にカンナを進めても構いません。逆逆目は仕上げ削りで取ります。
電気カンナ 特殊加工 面取り、丸棒、相じゃくり
ここでいくつか変わった切削を見てみましょう。電気カンナでも「面取り」はできます。フロントベースにある三角溝に、板の稜線を合わせて進むだけです。
この場合、切削深さ調節ノブの表示よりも、溝の分だけ深くなります。また、この面取りは、必ず材料の状態の時に行います。立体になった作品を面取りするのは危険です。作品はどうしても、手で取り回して、持ちながら作業したくなります。手が刃に近づくのはそんな時です。これは気を付けましょう。
「丸棒」を半丸に、あるいは平面部分を作る時。これは接着面を設けたり、座りをよくするために行われます。このままでは転がりやすいので、あらかじめV型をした削り台を作ります。短い丸棒なら木工用万力にはさんでもできます。
「相じゃくり」は床板などに見られる段差加工です。電気カンナの刃は、ベースよりも右側に出ているので、そこを使ってL型に削ることができます。直線に削るためには、本体に「平行ガイド」を取り付けます。これは別売で、機種ごとに専用の部品です。板からはみ出て電気カンナを操作するので、やや危険な作業です。使い慣れて、安全の処置が確実にできる方にしかお勧めできません。
動画 おすすめ 電気カンナの使い方
基礎から始めるDIY講座【電動道具13回目】電動カンナを知ろう!
電気カンナ メンテナンス
電気カンナ刃 研ぐ 交換
ここでは「研磨式カンナ刃」の研ぎと、それに必要な着脱の方法、そして最近多い「替刃」の交換を見ていきます。これから購入を検討している方は、両タイプの取り扱い上の違いを比べて参考にしてください。
最初はカンナ刃の外し方です。ネジが多いので、どれが何を固定しているか図示しました。「研磨式」では、まずボックスレンチで六角ボルトを緩めて外し、「カンナ刃押さえ板」を取ります。そして中にある「カンナ刃」と「セットプレート」を組品のまま取り出します。 ドラムの裏側にある刃も同様に外します。
「替刃式」では、この組品の代わりに替刃用のセットプレートが、位置決めされたうえでネジ止めされています。それでも刃は引き抜けます。実際の作業では、外側の「カンナ刃押さえ板」のボルトを緩めて刃を抜き、新しい刃を差し込んでからボルトを締めます。両刃なので、片側だけの傷みなら向きを変えるだけです。
次は「研磨式」の刃を研ぎます。先ほどの組品を分解して、刃を取り出します。
そして図のように「刃研ぎ保持具(付属品)」へ2枚の刃をはさんで固定します。
こうすれば、研ぎ角度が狂う心配はありません。刃先を見て、細かい刃こぼれがあれば荒砥石(粒度240番くらい)、なければ中砥石(1000番くらい)で研ぎ始めます。充分に返り刃を出してから、保持具を外して裏側を数回こすって返りを取ります。この時、刃のカドを丸めておく方法もあります。カンナがけを重ねてできる段差を目立たなくさせる処置です。
研ぎ終わった刃を取り付けるには「刃高調整」をします。メーカーによって方法が違うので、例としてマキタの場合を解説します。まず、カンナ刃とセットプレートをネジで仮組みします。そして図のように「刃高ゲージ(付属品)」に載せて位置決めしたら、ネジを強く締めます。手が滑ると危ないので、革軍手をはめてください。この調整がすんだ組品を、もとどおり回転ドラムに取り付けます。
なお、日立製品ではセットプレートはなく、刃をドラムに取り付けてから位置決めします。この方式をお使いの方は、付属の取り扱い説明書をご覧ください。
確認として、リヤベースに定規を当てて刃の出かたを見ます。手でベルトを送って刃を回した時、刃先が定規に軽く触れるくらいなら適正です。また、2枚ある刃のうちの1枚だけが出っぱると、切削中に振動が起きます。
この場合は刃高調整をやり直します。また刃が斜めになっていて、刃高調整でも改善されない時は、ベースの狂いが考えられます。その際は修理を依頼しましょう。
電気カンナは切れ味が落ちても、なかなか気が付きません。逆に、刃を研いだ後は切れ味に注目しているので軽く進むのがよくわかります。お試しください。
動画 DIY 電動カンナの刃研ぎ
電気カンナの修理、故障
電気カンナの故障で多いのはカーボンブラシの摩耗です。
カーボンブラシには寿命を表す線(摩耗限度線)が刻印されており、カーボンブラシの摩耗がこの線まで達してしまうと交換となります。
カーボンブラシは炭素でできており、モーターの回転とともに消耗していくため、定期的な交換が必要になる部品です。
この線を超えて使用すると、カーボンブラシに埋め込まれている銅線や金属部分が露出し接点が異常摩耗モータそのものが焼損します。
又、異物、ゴミによる接触不良、異音等も多いです。
一度、分解掃除するのが一番、簡単な修理方法です。
廃棄する前に一度、試してみてください。
故障事例:カーボン ブラシ摩耗
現象:モーター発熱
原因:カーボンブラシの摩耗
修理、対策:カーボンブラシの交換
動画 電動カンナをメンテナンスする
電気カンナ 使い方 安全注意ポイント
電気カンナは絶対に改造してはいけません、大事故につながり、もし事故が発生しても全て自己責任となり保険保証の対象外となります。
普段、電動カンナは刃を伏せるようにして使い、そして置かれます。また他の工具のように、刃先で狙いをつける場面がありません。つまり使っている状態では、刃を見ないわけです。こうしてみると、刃の存在は希薄です。
これがひとたびゴミ詰まりの掃除となると、刃の回りは点検したいことが多いものです。手でじかに触れるのは危ないので、割りばしなどを用意しましょう。
前に述べた「運転中は両手で本体を持つ」のも、そして「材料を固定しておく」のも、手が刃の近くにいかないようにするためです。とくに回転している刃は危険です。いつも刃を意識して、手が近づかないようにしましょう。
また電気カンナには、刃を覆う安全カバーがないので、台や板に置くまでは、気を緩めないようにしましょう。
電気カンナ アクセサリー
アマゾンで売れ筋の電気カンナ アクセサリーを知りたい方は下記のが画像をクリックしてください。
まとめ
電気カンナは手ガンナと比較して格段に切削能力が大きくカンナ仕上げを楽にこなしてくれます。
荒材のザラザラを削ったり、厚みのある板材を薄く削ったりも楽でです。
また、長年使用して変形したまな板を削れば、新品同様のきれいなまな板に再生できます。
電気カンナがあれば木工DIYの作業エリアを大きくふくらませてくれる便利な電動工具です。
*電気カンナ 工具の選び方、使い方、手入れについては下記の文献に更に詳細な内容が記載されています。
参考文献: