図解 テスター(回路計)の選び方、使い方

テスター イラスト

テスター(回路計)とは?|英語:Circuit Tester

テスタは、回路や電線に流れている電流や電圧を測定する計測機器です。メータの付いた本体と測定用の赤と黒の2本の端子で構成されており、デジタル式とアナログ式の2種類があります。

物体に長さや重さなどの量があるように、電気にも電圧や電流、抵抗値などの量がある。こうした物理学上の現象や状態を一定の単位で表わせる量を物理量という。

電気とは、そもそも目に見えない。テスターは、こうした目に見えない電気のさまざまな物理量を調べる計測器(計測機器ともいう)です、そもそもはサーキットテスターを略した呼称で、日本語では回路計という。また、複数の事象の物理量を測定できるメーターであるため、現在ではマルチメーターということもある。測定に使用する棒状の部分をテストリードという。
 

下記が標準的なデジタル式テスターとアナログ式テスターの外観と主な機能です。

アナログテスター 例2

画像出典先:テスターの職人技   市川清道 著

デジタルテスターの例

画像出典先:テスターの職人技   市川清道 著

テスター機種によっては抵抗測定や導通検査、ダイオード測定などに利用できるものもあります。

テスター(回路計)の歴史

 「テスター」の語源はCircuit Tester(回路試験器)のようですが、海外ではほかにMulti Meter またはAVO Meter「(アボメーター)などの名称が使われているようです。アボメーターはAmperes Volts Ohms の頭文字で、テスターの機能をよく表しています。
 ところで、電流計の前身は、未知の抵抗値を測定するためのホイーストンブリッジ回路の考案に伴い、電流で指針が動くガルバノメーターが1820年代に実用化されたことにあるようです。
やがて、1900年頃、ゼンマイバネを使い、電流の強さに比例して指針が動くD’Arsonval/Westonのガルバノメーターが作られるに至って、現在のムービングコイル式メーターの原型が完成したとされています。

ガルバノメーター

ガルバノメーター

 1923年、イギリスの郵便局技師Donald Macadie (ドナルド・マッカディ)は、作業現場で使う数々の電圧計、電流計、電池、抵抗器などをひとつにまとめ、これをAVOMeterとして発表したのが最初のテスターとされています。以後、この便利な計測器は電気が絡む現場には欠かせないものとしての地位を築いてきました。

 アナログテスターの原理、仕組み

アナログテスターは、可動コイル型の電流計を使っています。英語のAmpere meterを略してアンメーター(Ammeter)ともいいます。

下図は内部の構造を示しています。下図(a)は主要な部品ですが、N、Sで示す永久磁石、磁極片、円柱形の軟鉄心、長方形の枠に巻かれた可動コイル、制御バネ、可動コイルに付いた指針などです。下図(b)は可動コイルの取付け方を示したものです。

下図は可動コイル型アンメーターとも呼ばれています。永久磁石の中にある可動コイルに測ろうとする電流を流します。

可動コイルは永久磁石よって発生する磁界の中にありフレミングの左手の法則による力で、可動コイルに回転力が生じて、指針を回転させます。

可動コイルが回転するにしたがって、制御バネが巻き込まれ、可動コイルに生じる回転力と制御バネによる力がつりあった位置で静止しますが、この位置は可動コイルに流れる電流に比例します。

このため等分目盛にできるので、精度の高い標準値を測ってから等分することで、精度の高いメーターが作れます。

アンメーター

アンメーターの構造 画像出典先:テスターが良くわかる本 小暮 裕明 著

アナログテスター 直流電流計のしくみ

下図に示す回路の電流を測定するときには、電流の流れをアンメーターの中に引き込む必要があります。このため、図のように回路を切り開いて、アンメーターを回路に直列に接続します。

可動コイル型の電流計は、高精度で安定した測定できるので、標準計器とされています。また、カルバンメータ(検流計)も同じ構造をしています。

回路に流れる電流

回路に流れる電流 画像出典先:テスターが良くわかる本 小暮 裕明 著

アンメーターの可動コイルは微細な銅線でできているので、流せる電流量には限りがあります。テスターで使っているアンメーター単独で測定できるのは、数百μA程度までなので、これだけでは測定範囲に限りがあります。

 そこで大電流を測るためには下図のような分流器(シャントともいう)を用いています。

 電流Iはa点で分かれて、内部抵抗Raを持つ電流計へIaが流れ、また分流器の抵抗RsへIsとなって流れます。

 そこで、この分流器の抵抗値を調整することによってRsとRaで決まる倍率で大きな電流が測定できることになります。

          倍率 m=(Rs+Ra)/Rs

電流計の指針の値Iaのm倍の電流Iを測定できるとき、mを分流器の倍率といいます。倍率mは、上の式で求められるので、テスター内に用意されているいくつかの分流器に切り替えることで複数の測定レンジが得られます。

分流器の倍率2

分流器の倍率

アナログテスター 直流電圧計のしくみ

直流電圧計のしくみについて説明します。電圧計は、アンメーターと、それに直列につないだ抵抗で構成されています。
 下図(a)に示すように、抵抗Rに電圧Eを加えると、電流Iはオームの法則から、つぎの式で求められます。

   I=E/R

 また、抵抗に電流Iが流れていれば、抵抗Rの両端の電圧Eはつぎの式で求められます。
   E=I×R
 図(a)に示した具体的な数値を使って説明すれば、

I=1mA,R=1kΩから、電圧Eは1Vとなります。
 このように、抵抗Rの値を決めておけば、アンメーターで電流を測定することで圧を求めることができますから、図(b)のように目盛を付けておきます、この抵抗Rを、倍率器ともいいます。
 このように、電流目盛を抵抗のR倍にした目盛で電圧が読めることになるので、電流用のアンメーターを電圧用にも兼用できるというわけです。

直流電圧計のしくみ

直流電圧計のしくみ 画像出典先:テスターが良くわかる本 小暮 裕明 著

アナログテスター 交流をはかる仕組み

交流の電流を測るために、直流用の可動コイル型アンメーターをそのまま使うと指針はほとんど振れません
 直流用アンメーターの可動コイルは、永久磁石によって発生する磁力の中にあり、フレミングの左手の法則による力で、可動コイルに回転力が生じて指針が回転します。メーターの目盛りは左端が電流ゼロで、指針が右に振れるほど強い電流値です。このため指針が右に振れるように、直流のプラス極とマイナス極を接続するわけです。
 一方交流は、時間が経過するとともにプラス極とマイナス極が変化します。交流の電圧または電流の変化を表しグラフを見ると、プラスのときに指針が右に振れれば、マイナスのときには左に振れそうです。

しかし指針が付いている可動部は、制御バネがもどる力でゆっくり動きますから、指針を動かそうとする力の方向が半周期ごとにすばやく変わると、指針の動きはこの変化の速度に追いついていけずに、指針はほとんど振れないのです。

交流電圧、電流の時間変化

交流電圧、電流の時間変化

 アナログテスター 可動鉄片型アンメーターのしくみ

下図(a)は、交流用に使われている可動鉄片型アンメーターの構造を示しています。固定コイル内に固定鉄片と可動鉄片があって、コイルに電流が流れると、コイルは電流の大きさに比例した磁界が発生します。
 下図(b)は、磁場ができている場所にある鉄片が磁化される原理を説明しています、コイルに電流が流れると、鉄の棒にコイルを巻いた電磁石と同じように、それぞれの鉄片は図に示すような極に磁化されます。

固定鉄片と可動鉄片は極性が同じなので、互いに反発し合います。固定鉄片は動かないので、この反発力によって可動鉄片が付いている軸を回転させ、軸に付いている指針も反発力の強さに応じて動くことになります。


電流の向きが変わって図8-3-2(b)とは逆向きの磁力線ができても、両方の鉄片の極性は、上がS極、下がN極となります。このように鉄片は常に反発し合いますから、同じ方向に回転力が発生することになります。このように、可動鉄片型アンメー
ターは、交流専用として使われています。

可動鉄片型アンメーターのしくみ

可動鉄片型アンメーターのしくみ 画像出典先:テスターが良くわかる本 小暮 裕明 著

アナログテスター 整流器型電圧計

アナログテスターはアンメーターを使っているので、交流を測定するためには流器を使っています。
 これを整流器型電圧計といいますが、前項で述べた直流電圧計に整流器を付けた構造です。整流器はダイオードが使われますが、下図(a)のようにメーターには電流の平均値Iが流れて、指針が触れるようになります。そしてIは交流電圧Eに比例するので、目盛から電圧が読み取れるようになります。
 テスターは、実際には1個のダイオードではなく、下図(b)のように2個の半波整流や4個使った全波整流が用いられます。
 交流は時間とともに大きさと向きが変化するので、テスターの交流電流や交流電圧の表示は、交流の実効値です。

交流の整流回路と平均値

交流の整流回路と平均値

アナログテスター 抵抗をはかる仕組み

下図の回路でスイッチをONして、ボリュームを調整してメーターをフルスケールにすると、電流IはE/Rです。Rはメーターの内部抵抗とボリュームの和です。
 つぎにスイッチをOFFにすると、電流はRxが加わりIxに減少します。

抵抗計のしくみ

抵抗計のしくみ

IxはIx=E/R+Rxで求められるので、これらの式からつぎの関係が得られます。

 Rx=R(I/Ix-1)

 ここで、測りたい抵抗Rを接続したときの電流計の指針が、フルスケールIの半分になったとすると、Ix=(1/2)×Iを上式に代入して、Rx=Rとなります。
 このとき、Rxの値は既知の抵抗Rになるので、目盛の中央の値をRにすればよいことになります。右端はRxが0Ω、また左端はRxが無限大です、このようにして途中も同様に目盛ったメーターがあれば抵抗計になります。

アナログテスター 零オーム調整ツマミ

測定レンジを抵抗にセットしてからテストピン同士をショートして、零オーム調整ツマミをゆっくり回して、指針が0Ωを指すようにセットします。
 電池が消耗していると電圧が低下しているので、メーターの指針がフルスケールの位置からずれてしまいます。そこで、零オーム調整ツマミをゆっくり回して、指針が0Ωを指すようにセットします。

テスター ゼロオーム調整

テスター ゼロオーム調整

デジタルテスターの原理、仕組み

デジタルテスターの基本になっているのは直流電圧測定部です、電流、抵抗も最終的にはこの直流電圧測定部で計測している。

テスター内部の決められた抵抗値の抵抗にかかっている電圧を測定すれば、電流がわかるし、一定の電流を流して電圧を測定すれば、抵抗値がわかる。交流の電圧や電流の場合はもちろん整流したうえで測定している。

この直流電圧測足部を中心に分圧器、電流/電圧変換器、抵抗/電圧変換器、整流器などでデジタルテスターで構成されている。直流電圧測定部以外の部分を総称し入力変換部ともいう。これらの回路はそのほとんどの部分かLSIに集約されている。

デジタルテスター 回路構成

デジタルテスター 回路構成

デジタルテスター A/D変換器とデジタル表示器

デジタルテスターの直流電圧測定部は、A/D変換器とカウンター、演算回路で構成されるが、実際に表示を行う液晶などのデジタル表示器とそれを作動させる表示器駆動回路も直流電圧測定部に含めることが多い。

また、カウンターと演算回路を含めてA/D変換器ということも多い。
 A/D変換器とは、電圧というアナログの情報をデジタル信号(パルス波)に変換する装置で変換された信号の数をカウンターで数え、演算回路が電圧の情報にし、表示部駆動回路を介してデジタル表示器に電圧を数値で表示する。

非常に簡単にいってしまえば、テストリードにかけられた電圧によってコンデンサを充電、その放電にかかる時間をカウンターで数えることで電圧を測定している。カウンターで数えることができる最大の数がデジタルテスターのカウント数、数える際の最小単位が電圧測定のもっとも低いレンジの分解能といえる。

分圧器と直流電流測定ファンクション

A/D変換器で測定できる電圧の範囲には限りがある。そのため、直流電圧測定ファンクション[DCV]では、直列に接続した複数の抵抗器とスイッチで構成された分圧器で、A/D変換
器で測定できる電圧に変換している。

分圧器は倍率器や減衰器(アッテネーター)ともいう。
たとえば、直流電圧測定部の測定範囲が0~400mVで、図のように4個の抵抗器で構成された分圧器を使用する場合400mVレンジでは分圧器の両端、つまりテストリ-ドに入力
された電圧をそのまま直流電圧測定部で測定することになる。

スイッチが4Vレンジの場合、電圧測定部は1MΩにかかっている電圧を測定することになる。合成抵抗10MΩのうち1 MΩにかかっている電圧なので、分圧によって入力電圧の1/10になる、入力が3Vであれば、電圧測定部は300mVという測定結果になる。

この結果とスイッテの位置から演算回路が小数点の位置や単位を決定し表示器は3.000Vと表示される。同じく40Vレンジでは入力の1/100、400Vレンジでは1/1000の電圧を測定できる。なお.A/D変換器の内部抵抗は非常に大きいので、分圧器の抵抗と並列になっても分流による影響は非常に小さい。

分圧器と直流電流測定ファンクション

分圧器と直流電流測定ファンクション

テスター(回路計)の種類、サイズ

テスターをサイズで大別すると、デスクや作業台に置いて使用するベンチタイプと、携帯して使うことができるハンディタイプになる。

ベンチタイプはベンチトップタイプともいい、一定の場所で使用するのが前提である。コンセントから供給される商用電源を利用する。ハンディタイプに比べると高機能で精度も高い。それだけに価格も高く、安いものでも数万円、高いものでは10万円を超える。

 ハンディタイプは携帯を前提としているため、電源には電池を使用する。製品のバリエーションは非常に幅広く、一部には5万円を超えるものもあるが、1000円以下のものもある。価格が高いほど測定できる事象(ファンクション)の数が多くなるのが一般的な傾向だが、測定できる範囲(レンジ)を広くすることにコストをかけている製品もあれば、安全性向上や小型化にコストをかけている製品もある。

ハンディタイプは大きさでさらに分類されることがある、小さいものをポケットタイプやカードタイプというが、サイズに明確な決まりはない。ポケットタイプやカードタイプを区別した場合、これら以外の大きめのものがハンディタイプだ。
 本体が小さくなるほど、ファンクションが少なくレンジが狭くなるのが一般的です。

また、目盛を読む必要があるアナログテスターでは、表示部が小さく見にくくなる。指針を動かす機械的な構造も必要であるため、薄くするにも限界がある。そのため、アナログ式にはポケットタイプやカードタイプは少ない。通常より少し小さなさなものはアナログミニテスター、薄めのものは薄型アナログテスターと呼ばれることがある。
 このほか、特殊な形状のテスターには、ペンシルタイプのテスターやSMDテスターがある。

ベンチタイプ テスター

ベンチタイプは据え置きでの使用が前提とされている。ハンディタイプにも高機能なものや多機能なものはあるが、ベンチタイプは誤差が小さく、より精細な測定ができるものが多い。形状ははば同じだが、持って移動できるようにハンドルが備えられたタイプもある、ポータブルタイプと呼ばれている。

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ハンディタイプ テスター

ハンディタイプはハンドヘルドタイプともいう。ハンディテスター(ハンドヘルドテスター)は片手に持⊃て使うのが前提だが、手の小さな人では持ちにくいほどのものもある。機能が
シンプルなものは小型化される傾向かおるため、多機能なものや高機能なものが多い。

三和電気計器 デジタルマルチメータ CD-771   楽天

 ポケットタイプのテスター&カードタイプテスター

ポケットタイプのテスターは、その名の通りシャツなどの胸ポケットに収まるサイズです。

電子部品の進化によって現在ではポケットタイプでも測定できる事象(ファンクション)が数多いものや高機能なものがある。ただし、小さなボディでは大電流や高電圧への安全対策が難しいため、測定できる範囲(レンジ)には限界がある。
 いっぽう、機能はシンプルだが、安価な機種も数多い。

シンプルとはいっでも、直流電圧測定、抵抗測定、導通チェックといった機能は備えられていることがほとんどです。

三和 PM3  楽天

ペンシルタイプテスター

ハンディテスターでは、本体をどこかに置き、両手で2本のテストリ-ドを扱うことが多いしかし、状況によってはテスターを置く場所がないことがある、そうした際に便利なのが、ペンシルタイプのテスター(プローブテスター)です。

 ペンシルタイプでは、本体の先端にテストピンが備えられていて、本体の後端付近からもう1本のテストリードが伸ばされている.そのため、本体と1本のテストリードを持って測定できる。ただし、表示部は小さく、本体のテストピンの測定対象への当て方によっては意外に見にくい位置になることがある。

カイセ SK-6597  楽天

SMDテスター

SMDテスターは、日本語では表面実装部品向けテスターや表面実装部品用テスターという。基板上に装着された小さなチップ部品を測定するためのテスターです、ペンシルタイプのテスターのような細身の本体から、2本の弾力があるテストリードが伸ばされていて、その先端にテストピンが備えられている。このテストコードをピンセットのように操作することで測
定を行う。

MASTECH社の表面実装部品向けテスター  楽天

日本工業規格  回路計  JIS C 1202:2000

回路計 英訳標題 Circuit testers  解説概要

この規格は,直流電圧,直流電流,交流電圧,交流電流及び抵抗のうち,3 種以上を測定するアナログ式及びディジタル式回路計と標準付属のテストリードについて規定する。ただし,これらの諸量を測定するために外部電源を使用するもの,1 200V を超える電圧を測定するもの,高電圧測定用プローブ及びアナログ式回路計では増幅器を内蔵するものを除く。備考 回路計には,電圧,電流又は抵抗測定機能等を利用した低周波出力,温度,乾電池閉路電圧,負荷電圧,負荷電流,トランジスタ直流増幅率等の付加目盛(又は機能)を設けてもよい。

その他の詳細は下記のサイトを参考にして下さい。

JISC日本工業標準調査会サイト

回路計の日本工業規格はJIS C 1202:2000 です。JISC日本工業標準調査会サイト内のJIS検索から内容が閲覧可能です。(但し印刷不可)

*現在はIEインターネット エクスプローラーのみ閲覧可。

kikakurui.com |JIS規格票をHTML化したサイト

回路計の日本工業規格はJIS C 1202:2000 が全文、閲覧、印刷可能です。(但し図、イラスト含まず)

回路計 JIS C 1202:2000 

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